SAMPLE COMPANY


 

車の静音化(実践編)

解説編でも触れましたが、車の騒音の発生源には色々あり、その対策もいくつかありますが、エンジンオイルやタイヤの変更は別途考える事として、ここでは主に、制振材や吸音材を用いる事による対策を考えます。

DIYでの静音化

1)騒音源自体を改善
エンジン音 エンジンオイルの変更(より高グレードのものに)
タイヤ   よりコンフォート系のものに変更(レグノ、アドバンdb等々))
2)制振シート、吸音シート、充填材等の追加
◆エンジン関係
バルクヘッド、アッパーマウント周辺、ボンネット裏等に制振シート・吸音シートを貼る
◆室内関係
フロアーに制振シート、ドアのインナーやアウター部に制振シート貼り付け、開口部の密閉化
ピラー部に充填材、トランクのフロアーに制振シート貼り付け、ルーフ裏に制振シート・吸音シート貼り付け
3)エアロパーツ取り付け(風きり音の低減)
ドアミラー、ピラー側面に整流パーツ取り付け
パネルの隙間をゴムシーラーにて埋める

音がうるさく感じる車を、少しでも「静かになったなあ」と実感できる様にする場合に、まず手をつけるべきなのは、エンジン音(ミッション音も含む)の車室内への遮音の対策だと思います。 なんといっても、動いていなくとも、動いていても一番の騒音源であるエンジン音の音を低減する事をお勧めします。
具体的には、エンジンルームと車内を隔てている、バルクヘッドと言われる隔壁の振動を制振材で抑え、遮音が出来るもので覆って音の進入を減らします。
この場合、メーカー段階ではベルクヘッドの車内側のダッシュボードの裏側になる箇所で。車のグレード等にもよりますがすでにそれなりの、吸音・制振・遮音の効果のあるもので対策をしています。後付のDIY工作でもダッシュボードを外して工作出来なくはありませんが、結構な作業量になります。
ここでは、比較的アクセスしやすいエンジンルーム側のバルクヘッドへの工作を考えたほうが実際的です。

以下、順番をまとめると

1)バルクヘッド(制振・吸音)、フロントアッパーマウント(制振)、ボンネット裏(制振・吸音)
2)車内フロアー:前部(制振)、車体フロアー:後部(制振)、リアサスマウント部(制振)、タイヤハウス(制振)、ルーフ(制振)
3)ドアー:前方(制振)、ドアー:後方(制振)-->カーオーデイオの音質向上も兼ねる(前方)
4)アウターパネル関係対策(風きり音等々)





対策・工作例


1)バルクヘッド(制振・吸音)、フロントアッパーマウント(制振)、ボンネット裏(制振・吸音)

■ バルクヘッドの貼り付け例■
この例は、制振材(レジエトレックス )をまず貼り付けた上に、吸音材(ゼトロ )を貼っています。この車種(軽自動車)はバルクヘッドに比較的アクセスしやすい構造ですが、車種により、ワイパーユニット等のカバーがあったりして、それを外してから貼り付ける必要がある場合があります。 この部分は、室内への配線・配管等の取り付け部のブッシング、ブラケット等も多くそれをかわしながら工夫して張り付ける必要があります。
■ アッパーマウントへの貼り付け例■
この部分は、制振材(レジエトレックス )をマウントの水平部の一部と垂直部の周囲に貼っています。タイヤからの振動を直接受けるのがこの箇所で、ここの振動を抑えることにより、防音効果が期待されます。 また、この部分の構造の補強にもなるのでハンドリングにも、多少なりとも好影響が期待できます。
■ ボンネット裏面への貼り付け例■
開口部の形にあわせて制振材と吸音材を切抜き、制振材を貼った上に吸音材を貼ってあります。 元々、フードインシュレーター等の名称でボンネット裏に防音、断熱効果をねらったものが取り付けられている車種も多いと思いますがその場合でも、こんな感じで貼って、元のものを取り付ければより一層の防音、断熱効果が期待できます。 また、ボンネット表面版と内側の補強リブ構造材の間のゴム接着剤の追加補強として、シリコン系防水シーラーを追加塗布しました。

2)車内フロアー、リアサス関係、ルーフ等の制振

■リアフロアー部の制振例■
この写真は、軽のリアフロアに制振材(レジエトレックス )を貼った例です。元々、スペアタイアの取り付け部に申し訳程度の、制振材がはってありましたが、いかにもケチっている様で、さらに、貼り増ししました。 リアサスからの振動が、このようなパネルが共振することによりより増幅されて不快な突き上げ音になるので、それを低減させる効果が期待できます。さらに、サスペンションのボデイとの取り付け部(スプリング、ショック)やタイヤハウス周辺にも制振材を貼ればより効果が高まります。
■ ルーフ部■
ルーフは取り外すのが、手間がかかります。軽のような車の場合ほとんどがルーフアウターパネルにインナー材が部分的な接着剤で着けられているだけです。この場合、雨の音が気になったりします。 隙間の空間が少ないため制振材を貼る場合は、既存のインナー材が干渉しないように注意して貼ります。

3)ドア:前方(制振)、ドア:後方(制振)

■ ドアの構造パネルへの貼り付け例■
写真は、内張りを剥がした状態。写真の赤線で囲んだサービスホール等の開口部を、レアルシルト 等の制振効果のあるもので塞ぎます。この結果、ドア部からの音の進入が低減されます。ドアの閉まる音もしっかりします。また、スピーカーが設置されている場合は、取り付け後方が箱構造になるため本来のスピーカーの能力が出やすくなります。
■ ドアの断面の状態■
図は、ドアの断面を表します。通常の場合、上写真のような大きな開口部があると、外部の音が侵入しやすく、またスピーカー等の音も共鳴・共振しやすい構造になっています。その部分を塞ぐ事により、2重構造となり外部の音の進入がしにくくなってきます。 また、ドアスピーカーの音も、締りのない音から、しっかりとした締まった音になります。より良い音を鳴らすには、通常のスピーカーの様にスピーカー後方に、吸音材を設置して、不要な共鳴・共振を低減させます。
■ 工作上の留意点■
◆あらかじめ、ドアのインナーパネルに付いている、雨水遮蔽用の薄いビニールシートは剥がしておきます。
◆インナーパネルの開口部を、しっかり塞げるように、制振材の形を考えて切って貼りましょう。
◆機能のある穴・・・内装材取り付け用のビス穴、はめ込み用の穴等々は、塞がないようにします。
◆ウインドーの上下機構が故障の場合は、剥がす必要があることも考えて施工します。
◆開口部以外のところにも貼ればより制振効果は高まります。

4)アウターパネル関係対策(風切り音等)

■ドアピラー等のチリ部の風切り音の低減■
ドアのピラー部の様に、走行による風の方向に対して、線上の隙間がある場合、その空間の空気が共鳴して音が発生する場合があります。 その場合、そこを適当な部材で充填することにより、共鳴を低減できます。この風きり音関係の対策品は、エーモンの「静音化計画 」と言う一連の商品が出ているので、それを用いれば手軽に対策できます。
風切音は車の形状等に大きく左右されるので、効果が感じられる場合も、あまり感じられない場合もあると思われます。