従来の機械式時計とクオーツ時計の内部構造の機能的な違いは以下に示します。
機械式 | クオーツ | |
---|---|---|
基準時間の発生機構 | テンプ (ガンギ車、アンクル、テンプ、ヒゲゼンマイ) | 水晶発振子 |
基準時間サイクル | 5~8HZ | 32.768kHz |
補正機構 | トゥールビヨン(姿勢の補正) バイメタル切りテンプ(温度補正)等 | 温度補正・ツインクオーツ等 |
動力源 | ゼンマイ(自動巻き・手巻き) | 電池(一次、二次(ソーラー等)) |
誤差要因 | 温度(高:遅れ 低:進む)>熱による膨張収縮 姿勢(垂直、水平等) ゼンマイの巻き状態 磁気・振動 歯車・軸受けの状態 | 温度(25度との差) 磁気・振動(針式) 電池電圧 |
上の表のように、機械式時計には様々な誤差の出る要因がある一方、クオーツ式は比較的シンプル (主に温度)です。
機械式では、その姿勢が精度に影響していますが、クオーツも、針式のものは確かに機械的に動く部分(針の回転部分用のステッピングモーター) はありますが、あくまで動きは一定の角度の回転であり、内部的にはデジタル信号を針の角度に変換するもので、そこにはアナログ機械式の少しずつ遅れたり進んだりといった誤差はなく、正常に動くか故障で動かないかの状態しかありません。要は基本的な誤差はその針を動かす信号からのみ発生します。(ただし、針の絶対的な位置がずれた場合はいくら正確な信号を送っても、そのズレは自然には直りません。電波時計がおかしな時刻を示す多くの原因はこの針ズレによる場合が多々あります)
時計用の水晶発振素子は温度によりその発振周波数が変化し例えば下図に示すような、特性を示します。
この例の場合、25℃で本来の周波数で発振し、その温度から、低いほうにも高いほうにもずれた場合は、周波数は減少する様な特性を持っています。また、この様な素子は個体毎にも精度が異なり、高級品にはそれなりの選別された素子を使用することが行われています。
従って、時計が正確に動作するには時計の内部温度が25℃近辺で安定している事が必要と言う事になりますが、これは腕につけた場合の時計の内部温度にも近く、クオーツ腕時計はちゃんと腕に装着することにより、より正確に動作する条件が整うと言えます。
※注※
上の表で誤差の表現にppmと言う単位が使われています。
ここで言うppmはよく化学で微量の成分の濃度などに使われるppmと意味合いは同じ、1ppm=1/100万(parts per million)です。
その濃度の変わりに、誤差時間をトータル経過時間で割った値になります。
即ち
30日間に1秒ずれる誤差の場合
1秒/30(日)x24(時間)x60(分)x60(秒)=1/2592000=1/259.2万≒0.386ppmとなります。
濃度の場合と同じくやたら0が多くて、分かりにくい場合はこの様な表現を使うと、スッキリ表現できます。
実際もうあるかもしれませんが・・・
機械式時計のテンプの部分を、クオーツ式のステッピングモーターに置き換えたもの
そのステッピング周期もテンプと同じにして、メカニカル音も同じようにする。テンプ(駆動のゼンマイ部分も含む)以外は、メカなのでメカニカルな雰囲気は味わえるし精度も良い。
基本的な機械式時計の部分は変えないが、電波時計の修正デバイスも組み込んで、1回/日、1回/月程度の頻度で機械的に時刻修正のみするもの。
スペース的に苦しいが基本的にメカ時計なので、メカの楽しさは感じられるかも?・・・
・・・てな調子でいろいろ妄想すると愉しいですね・・